写・憲法やってみた

日本国憲法と自民党改定草案を写してみました。違うところも一つずつ見てみました。

草案:第6条4項:天皇と内閣の関係

 

天皇の国事行為をまとめた6条の4項です。

こんなふう。

 

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現行憲法では第3条でした。 

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変更箇所はこんなふう。

 

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「助言と承認」を「進言」としました。

進言とは「上位の者に意見を申し述べること。具申」(大辞林)。
しもじも感がこう、またひしひしと………。

 

そして大きいのは「衆議院の解散」について。
衆議院の解散は、てっきり内閣総理大臣の胸ひとつとどこかに記述してあるのかと思っていましたが、なんだか根拠法はかなり曖昧みたいです。今までのは慣例ということなのかしら。

明文化するのは悪くないけれど、首相ひとりが決めれば解散できるというのは、いかがなものでしょう。


草案:第6条5項:天皇はお忙しい

 

天皇の国事行為についてまとめた草案の6条、最後の5項は新設条項です。

 

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公的な場へのお出ましも明文化。

何に出て何に出ないか。どこに天皇や皇后がいらして、どこに他の皇族が天皇の代わりにいらっしゃるのか。 

水面下でのそういう熾烈な戦いがありそうです。

でも被災地でのお姿には、つい手を合わせてしまいます。あと、皇后陛下お歌もとても好き。余談でした。

 

 

 

 

第7条:天皇のお仕事0

 

これは現行憲法の「天皇の国事行為」。

 

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草案では第6条2項に移動しました。

 

「儀式のための権威」は、日本では天皇陛下じゃないとつけられないんですね。
外交官や政治家何百人ものお力があるのでしょうけれど、だからこそここまで規定しないといけないのか……。
なんか複雑な気持ち。

 

 

草案:第7条:天皇がお仕事をできない時(長期)

 

草案では、摂政についての規定を7条に移しました。

 

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これは現行では5条だったもの。 さて、変更箇所はどこかというと……

 

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一文を2つに分けて、2項立てにしたんですね。

2項中の草案5条はこちら

6条4項はこれです。

 

 

第8条:皇室の財産は私財ではない

 

皇室の財産について考えたことは、これまでの人生の中でたぶん15分くらいあるように思いますが、憲法で規定されているのですね。

 

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いっさい自由にならない財産……。平民てなんて気楽なんだろう。

草案ではどうなっているのでしょう。

 

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 おや、大きな変更がある。

 

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 「法律で定める場合を除き」ってなんでしょうか。この法律ってなんだ?

 「皇室経済法」というものでしょうか。
法律が多すぎる。わからん。

 

 

第9条:現行憲法のスター「戦争の放棄」

 

さて、9条です。

現行憲法では、第2章はこの9条のみ。章タイトルは「戦争の放棄」です。

 

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いろいろな法律によって、すっかり骨抜きにされてしまったのではないか、という感も否めない9条ですが、あるとないとでは抑止力が全然違うと思うんですよね。

第2項の「前項の目的を達するため」というのが、よく聞く「芦田修正」というところだそうです。「じゃ、そうじゃなきゃいいのだね」という解釈への道を開いたということでしょうね、きっと。

 

では、草案の9条はどうかというと、こんなふう。 

 

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こちらでは2章は3条入っています。章タイトルは「安全保障」に方向転換。

9条の変更箇所はこんなふうです。

 

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1項の「永久にこれを放棄する」が、「用いない」になったんだ。軽くなりましたね。

せめて「決して」くらい入れて欲しいような……。

2項目はずばっと核心を明記しました。


文字だけ見ると似ているようで全く違う、現行と草案の第9条。オーウェルの『動物農場』みたい。

 

 

*2017年5月3日に、安倍氏が「加憲」について言及しました。現行憲法はそのままで、第3項で「自衛隊の存在」を明記するとのこと。
うーん。それってどうなの。なんか、“増築をくりかえして当初の目的を忘れた前衛的建築物の廃墟”みたいになりそうではないですかしらん?

私は以前から、憲法自衛隊を明記する必要があると思ってきました。自衛隊を持っているのに「軍隊は持っていない」と言ったりするから無理筋な解釈を重ねることになって、結果、ずるずると拡大運用されていってしまうと考えるからです。

私たちは「我々は国を守るためとはいえ、非常に強い武力を持っている」ということをしっかり自覚する必要があります。

「危ない道具を持っている」「それを効果的に使う能力を備えている」「でも恣意的には決して使わない」と約束した上で、「どういうときに使うかというと……」と運用を細かく規定するのが、私の考える理想の「9条」です。

政治の言葉は、「正しい語法」を使い論理的に構築しないといけないと考える私は、9条改定に賛成ですが、現政権での9条改定には反対です。

 

 

 

 

草案:第9条の2:耳慣れない「国防軍」

 

草案9条の2では、新しく「国防軍」を規定しました。

戦後生まれの身としては、「軍」という言葉は嫌だけれど、「自衛隊」という名前は欺瞞なのかしら。そうなのかも。

 

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持っている兵力を持っていないと言って、解釈・解釈でずるずる広げていくよりも、自衛隊は明文化して、行動をきっちり規定したほうが、かえっていいんじゃないのかと私は思います。

あいまいに自衛力を使わないための条文ができるといいのだけど。

 最高指揮官は、どうしても「内閣総理大臣」になるのでしょうねえ。政治家を選ぶ緊張感が増しますね。